クラウド サービスを最大限に使いこなしてもらうことで、お客様が抱える問題を解決していきたい。このような想いから、2016 年 6 月から「Coo Kai for Office 365」の展開を進めているのが、株式会社ピーエスシー (PSC) です。また 2016 年 10 月には、国内初となる「Microsoft Advanced Support for Partners (ASfP)」と連携した運用支援サービスもスタート。Microsoft Office 365 活用を強力に支援する体制を整えています。
今回は PSC で「Coo Kai」のビジネス展開を担当する執行役員本部長の福田 勝巳 氏と、「Coo Kai 運用支援サービス」のプロジェクトマネージャーを務める神代 祐紀子 氏に、「Coo Kai for Office 365」の概要や提供開始に至った背景、運用支援サービスで ASfP を活用する意義などについて、お話をお聞きしました。
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写真左より、株式会社ピーエスシー 第五事業本部 Cloud Apps事業部 執行役員本部長 福田 勝巳 氏、株式会社ピーエスシー 第五事業本部 Cloud Apps事業部 CS課 プロジェクトマネージャー 神代 祐紀子 氏
会社概要とこれまでの「Coo Kai」への取り組み
―― まず御社の概要についてお教えください。
福田 PSC は 1996 年に設立された IT サービス企業です。創業から一貫して、「商品を売る」のではなく、「人の喜びを提供する」ことに注力してきました。Web インテグレーション構築やコンテンツ マネジメント サービス、モバイル インテグレーション、PC ライフ サイクル マネジメントなど、幅広いサービスを提供しており、端末管理からクラウドまで、ワン ストップで提供できます。
―― 2016 年 6 月には「Coo Kai for Office 365」の提供も開始しました。この「Coo Kai (クーカイ)」というのは、どのようなものなのですか。
福田 Coo Kai は、クラウド グループウェアを「もっと便利に使いたい」「クラウド システムの利用に合ったサポートが欲しい」といった多くのユーザーの声から立ち上がった、「アドオン アプリケーション」と「運用支援サービス」から構成されるクラウド特化型のサービスです。当社では 2011 年から Google Apps (2016 年 9 月に「G Suite」へと改称) の導入・運用支援やアドオン アプリケーションの開発を行っていますが、これを体系化したソリューションを 2013 年より提供開始し、これまで累計で、約 80 万のユーザー様にお使いいただいています。
―― なぜこのようなソリューションを提供しようと考えたのですか。
福田 G Suite は米国発のサービスであり、導入や運用で壁にぶつかったときに乗り越えることが難しいうえ、標準機能では日本企業に特化したカスタマイズにも限界があるからです。しかしこれから間違いなく、このようなクラウド サービスがお客様の問題解決に大きな貢献を果たすはずです。そのため、導入や運用をワン ストップで支援すると共に、日本企業でも使いやすい形にする「カスタム テーラー」の役割を担おうと考えたのです。
―― G Suite で既に高い実績があった Coo Kai を、Office 365 にも対応させることにしたのはなぜですか。
福田 クラウド市場の中で、マイクロソフトの存在感が大きくなっているからです。たとえばメール システムは、これまでビジネス ユースで Microsoft Exchange Server が広く使われてきたこともあり、クラウドへの移行の際に Office 365 が選択されるケースが圧倒的に多くなっています。これは日本だけではなく、グローバルでも同様です。最近では G Suite から Office 365 に移行するケースも増えています。またマイクロソフト自身がオープン志向を強めており、囲い込みの枠を取り払って来ていることも、大きな魅力になっています。マイクロソフトは多様な企業との協業を積極的に進めており、Office 365 や Microsoft Azure を他のシステムと連携させるという取り組みも展開しています。当社もこの流れに乗ってソリューションを展開していくことで、より大きなチャンスをつかめるはずだと考えています。
Azure 上で提供される「Coo Kai for Office 365」のアドオン
―― Coo Kai for Office 365 のアドオンは、どこで稼働しているのですか。
福田 Azure 上で稼働させる事を基本方針としています。Office 365 との親和性が高く、メンテナンスの負担も軽減できるからです。Coo Kai のアドオンでは、Web Apps や Azure AD などの PaaS 機能を活用しますが、負荷が増大しても自動拡張可能なので安心です。Stream Analytics や Cognitive Service などのデータ分析機能も、今後活用していきたいと考えています。現在はその前提となるデータ収集基盤を、Azure 上で構築しているところです。
―― Office 365 向けに提供されているアドオンには、どのようなものがありますか。
福田 既に提供しているのは、掲示板、メール誤送信防止ツール、ユーザー/グループ一括管理ツール、カレンダー移行ツールです。これらの中でも掲示板は、G Suite 向けの Coo Kai でも最も多く使われてきたアドオンで、掲示期日や期限の設定、きめ細かい投稿権限管理、組織名での投稿、未読記事の強調表示など、社内コミュニケーションの必要な機能を徹底的に網羅しています。Office 365 のユーザーやセキュリティ グループとも連動しているため、SharePoint Online と併用することで、便利で使いやすい情報共有環境を実現します。また、Lotus Notes などのグループウェアから掲示板や SharePoint Online へのデータ移行支援も行っています。
―― 今後はどのようなアドオンを提供する予定ですか。
福田 組織階層型カレンダー、組織階層型アドレス帳、タスク管理ツールの提供を計画しています。またそのほかにも、お客様のご要望に応じてアプリケーション開発を行い、汎用性のあるものはどんどんアドオンとして提供していく予定です。
ASfP と連携した「Coo Kai 運用支援サービス」
―― 2016 年 10 月 3 日には、パートナー向けのクラウド サービス専用サポート「Microsoft Advanced Support for Partners (ASfP)」との連携も、日本で初めて行っていますね。
福田 「Coo Kai 運用支援サービス」のバックエンドとして、ASfP を活用しています。クラウド導入やアドオン提供に加え、運用支援の提供もカバーしている点が Coo Kai の大きな特長ですが、その活動を支えるうえで、ASfP は重要な役割を果たしています。
―― まだ国内に採用事例が存在していない中、いち早く ASfP の活用に踏み切った理由は。
福田 2016 年 4 月にプレビュー版に参加させていただき、実際にサービスを使ってみた結果、「これだけ充実した内容なら正式版を早く使いたい」と思ったからです。実際、対応スピードも速く、内容も的確です。
―― 実際にどのような形で利用していますか。
神代 1 つは先程福田が申し上げたような、運用支援サービスのバックエンドとして活用しています。当社のヘルプ デスクでは解決できない問題は、まず当社内の技術チームにエスカレーションするのですが、それでも解決できないものは ASfP と技術連携して解決しています。
―― 具体的にどのような問題が ASfP で解決できましたか。
神代 これは Office 365 の案件ではないのですが、G Suite を活用しているあるお客様から「新たにマイクロソフトの EMS (Enterprise Mobility + Security) を導入したいのだがうまくいかない」という相談をいただいた時に、マイクロソフト側の担当エンジニアを紹介してもらって解決したことがあります。G Suite を利用しているお客様でも、社内業務では Microsoft Office を使っているケースが多く、このようなご相談はこれからも増えるのではないかと思います。
―― 他社サービスが関係する問題も、ASfP に相談できるのですね。
神代 そうです。ASfP ではアカウント担当者が付き、わからないことはなんでもこの担当者に聞くことができます。私自身、以前は G Suite のサポートを担当しており、急に「Office 365 をやれ」と言われて最初はとても不安だったのですが、今では ASfP があるので安心してお客様に対応できるようになりました。技術関連の話だけではなく、ライセンスに関する疑問もすぐに解決できます。
福田 今後のマイクロソフトのロードマップについて、情報収集できるのもメリットの 1 つです。四半期に一度の頻度で、開発段階の製品やサービスの話が聞けるセミナーを受講できます。API 連携やマイクロソフト製品の方向性、変更の可能性など、開発方針を立案するうえで、重要な情報が得られます。
神代 私もこのセミナーを 2016 年 9 月に受講しています。その後のフォローアップも Webinar で行ってくれたので助かりました。
―― 他にはどのようなメリットがありますか。
神代 Coo Kai ではクラウド サービスの新機能をお客様に紹介するサービスも行っているのですが、その担当者も ASfP の Webinar で情報を収集しています。このサービスは、クラウド ベンダーからの開示情報だけでは理解が難しい内容について、当社でわかりやすく解説したドキュメントを作成し、お客様に提供するというものです。このような取り組みも、Office 365 をお客様により近づけていくうえで、重要なものだと考えています。今後は新しいメンバーの育成にも、ASfP の Webinar を活用したいと考えています。
ビジネスの現状と今後の展望
―― ASfP と連携した Coo Kai 運用支援サービスのお客様は、いまどのくらいいらっしゃるのですか。
福田 提供開始からまだ 2 か月ですが、既に 1,000 シート規模のお客様にご利用いただいております。このお客様は Office 365 を一部の部門で先行展開している段階ですが、全社展開されれば 1 万シートの規模になるはずです。また 2 社目のお客様とも話が進んでおり、2017 年 2 月には利用を開始される予定です。
―― お客様からの反応は。
福田 Coo Kai 運用支援サービスは、お客様の環境を深く理解したうえでサード パーティ製品もカバーしたサポートを行っており、この点が高く評価されています。これに加えて「バックエンドにマイクロソフトが付いています」という話をすると、安心感がより高まるようです。
―― 今後はどのような展開を考えていますか。
福田 Office 365 向けの運用支援サービスとしては、先ほどの 1,000 シートのお客様からのご要望もあり、海外拠点向けの夜間英語対応を始めたのですが、これをさらに拡張して 24 時間 365 日のサポートを実現したいと考えています。また現在はお客様の管理者様向けにサポートを行っていますが、将来はエンド ユーザー様から直接コールを受けられる体制も整えていく計画です。Office 365 は使える機能が多く、Yammer や Office Delve に興味を持たれているお客様も最近では増えています。しかし実際にどのように活用すればいいのかわからないというケースも少なくありません。このようなお客様を積極的に支援し、ぜひ多くの方に Office 365 を使いこなしていただきたいと考えています。
―― 本日はありがとうございました。
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株式会社ピーエスシー
1996 年設立の IT サービス企業。創業から一貫して、「商品を売る」のではなく、「人の喜びを提供する」ことに注力しています。サービス内容は Web インテグレーション構築やコンテンツ マネジメント サービス、モバイル インテグレーション、PC ライフ サイクル マネジメント、ビジネス プロセス アウトソーシング、キャリア ビジネスなど、多岐にわたっており、端末管理からクラウドまでワン ストップで対応。2016 年 6 月からは、Office 365 の導入、運用支援、アドオン提供を行う「Coo Kai for Office 365」の提供も行っています。