外線発着信の電話機能を Microsoft Teams に統合できる Microsoft Teams 電話システム。その国内初の導入事例が、2018 年 11 月に稼働を開始しました。これを手掛けたのが協立情報通信株式会社 (以下、協立情報通信)。法人顧客を対象に、幅広い経営情報ソリューションを提供している企業です。それでは、この事例はどのような経緯で案件化され、導入の結果いかなるメリットをもたらしているのでしょうか。そしてクラウド ビジネスに対する同社の基本姿勢とは。情報通信システム部 部長の渡辺 正志 氏、設計・構築グループ グループ長の中島 俊一 氏、そして営業グループの矢澤 克之 氏に、お話をお聞きしました。
協立情報通信株式会社
情報通信システム部 部長 渡辺 正志 氏
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協立情報通信株式会社
情報通信システム部 設計・構築グループ グループ長 中島 俊一 氏
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協立情報通信株式会社
情報通信システム部 情報通信システム営業グループ 矢澤 克之 氏
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協立情報通信の概要について
―― まず会社の概要についてお教えください。
渡辺 当社は法人のお客様を対象に、経営活動を促進する経営情報ソリューションを、ワン ストップで提供している会社です。具体的なソリューションの内容としては、基幹業務ソリューションからクラウド ソリューション、グループウェア ソリューション、スマホ/タブレット活用ソリューション、コミュニケーション & インフラ ソリューションと、多岐にわたっています。またソフトウェアの販売やシステム構築、教育および運用サービスも手がけています。
―― 創業が 1964 年ですから、もう半世紀以上の歴史があるわけですね。マイクロソフト関連のソリューションは、いつごろから手掛けていますか。
渡辺 1986 年から OBC (株式会社オービックビジネスコンサルタント) 製品の販売を開始していたのですが、Windows 95 が登場したころには OBC と共に Windows の提供を行っていました。しかし取り扱いが本格的になったのは 2003 年ごろ、SBS (Small Business Server) への取り組みがきっかけです。その後、2009 年には BPOS (Office 365の前身となるサービス) の取り扱いをスタートし、ここからマイクロソフトのクラウド サービスにも積極的に取り組むようになりました。
―― マイクロソフトのアワードも数多く受賞されていますね。
渡辺 「パートナー オブ ザ イヤー アワード 2005 (世界アワード)」でファイナリストになった後、「ジャパン アワード 2005」のワールドワイド アワード特別賞を受賞しました。またその後も、2009 年のスマート ビジネス アワードや、2010 年と 2011 年のオンラインサービス パートナー アワードなどもいただいています。
―― もともとは PBX の販売と施工を行う会社だったとか。
渡辺 そうです。音声システムに関しては長い経験を持っています。最近では PBX やモバイル、クラウドと、各種業務ソリューションを連携させた案件が増えています。Skype for Business の音声案件も複数手掛けています。また現在は、Microsoft Teams で電話機能を提供する「Microsoft Teams – PBX 構築」といったソリューションも提供しています。
国内初となる「Microsoft Teams 電話システム」の事例
―― 2018 年 11 月には、国内初となる「Microsoft Teams 電話システム」の導入も実現していますね。これはどのような経緯の案件だったのですか。
矢澤 まずお客様からマイクロソフトに問い合わせがあり、それが 2018 年 2 月に当社へとエスカレーションされました。このお客様はイースト・アジアチック・カンパニージャパンという外資系企業の日本法人であり、当社にとっては初めてお付き合いするお客様です。具体的な問い合わせ内容は、社内に PBX を設置して電話を運用していたのですが、ハードウェアのサポートが切れたため Skype for Business でクラウド PBX を実現したいというものでした。その後、2018 年 6 月末に Microsoft Teams で外線発着信ができる Direct Routing 機能がリリースされたため、途中から Microsoft Teams の案件へと移行しました。
―― お客様がクラウド PBX として Skype for Business を候補に挙げたのは、どのような理由からでしたか。
矢澤 既に社内で Skype for Business を使っており、これで外線発着信もできれば、チャットや Web 会議に電話も統合できる点に、魅力を感じたからだと伺っています。途中でこれを Microsoft Teams へと変更しましたが、特に違和感もなく、2018 年 9 月には Microsoft Teams 電話システムの採用が決定しました。
―― 導入してから約 1 か月が経過しましたが (取材は 2018 年 12 月に実施)、具体的にどのような効果を発揮していますか。
矢澤 内線通話はもちろんのこと、会社からの外線発着信をどこからでも行えるようになり、どこにいても社内と同じ環境で仕事ができるようになった、というご評価をいただいております。実は導入して 1 週間後、お客様の営業担当者全員が本社会議に参加するためデンマークに出張したのですが、日本国内のお客様との電話のやり取りを日本にいるときと同じように行えたそうです。これが非常に喜ばれており、将来は在宅勤務なども取り入れ、インターネット越しで業務を行えるようにしたいと言われています。
―― 音声品質や安定性はいかがですか。
中島 実際に導入してわかったのですが、驚くほど安定しています。PBX をクラウド化するというと、クラウド側の問題でいきなり使えなくならないか、という不安を訴えるお客様も少なくありませんが、Microsoft Teams 電話システムであればまったく問題ありません。また遅延などの音声品質も良好です。通話用のスマホ アプリの中には音声品質が悪く、導入しても結局は使われなくなることがありますが、Microsoft Teams ならその心配もありません。
―― 端末は何を使用していますか。
中島 ノート PC とスマートフォンです。これらに Microsoft Teams のアプリケーションを導入しています。アプリケーションの展開も簡単なので、今回は営業 1 人と技術 1 人が週末作業するだけで対応できました。展開後もほとんど問い合わせもなく、すぐに使いこなしていただいています。
「情報創造コミュニティー」で各種セミナーを開催
―― 今回の取材は貴社の「情報創造コミュニティー」で行っていますが、ここはどのようなスペースなのですか。
渡辺 5 つのデモンストレーション コーナーとソリューション スクールを常設した、企業の情報と人材を活性化するための交流と学びの「場」です。各種ソリューションや導入事例を「知る」、デモや体験セミナーで「体感する」、講師のアドバイスなどを通じて自社に合った情報活用を「創造する」、といったことが行なえます。マイクロソフトに関するセミナーも継続的に開催しています。また商談もこの場所で、実際の商材を触っていただきながら行っています。
「情報創造コミュニティー」内のセミナールームと商談風景
―― 具体的にどのようなコースがありますか。
渡辺 「マイクロソフト クラウド スタートアップ セミナー Office 365 & Microsoft 365編」といった聴講セミナーや、「チームの働き方を革新する ! Microsoft Teams のご紹介」「Microsoft Teams から内線・外線の発信・着信が可能に! クラウド PBX 機能を実体験」といったハンズオン セミナーを開催しています。ハンズオンの定員は 1 回あたり 8 名様なのですが、毎回すぐに満席になってしまいます。またこの他に、マイクロソフト品川本社のセミナー ルームをお借りして、セミナーを行うこともあります。
―― 品川でもセミナーを行っているのはなぜですか。
渡辺 ブランド力の高いマイクロソフトの本社で開催することで、より多くのお客様に来ていただくことができるからです。比較的規模の大きい聴講セミナーを品川で行い、ハンズオン中心のセミナーは情報創造コミュニティーで行う、といった使い分けをしています。品川のセミナーに参加した方から、半年くらい経ってから問い合わせをいただくことも少なくありません。新規顧客の開拓に大きな貢献を果たしています。
―― 今回の案件はマイクロソフトからのエスカレーションだということでしたが、このようなケースは多いのですか。
渡辺 年間で 10 件以上はあると思います。これも新規顧客開拓につながっています。
クラウドは活用レベルを継続的に上げることが重要
―― 最後に、クラウドに対する貴社の考え方についてお教えください。
渡辺 クラウドはシステムを納品して終わり、といったものではありません。どんどん新しいものを提案し、活用レベルを上げていくことが重要です。これによって新たな利用価値を、お客様と共に創り上げていく。これが当社のクラウド ビジネスにおける、重要なコンセプトになっています。
矢澤 このようなコンセプトを具現化するうえで、Microsoft Teams は非常に魅力的な商材です。マイクロソフトは毎日のように Microsoft Teams の新情報をパートナー向けに発信しており、ここからお客様に提案したいネタも次々と生まれているからです。またマイクロソフトの担当者からも、参考になるアドバイスを数多くいただいています。
渡辺 このような情報を当社できちんと咀嚼し、それをお客様に役立つ形で提案することこそが、当社が提供できる重要な価値だと考えています。今後もこの方針に基づいて、お客様にとっての価値を高め続けていきたいと考えています。
―― 本日はありがとうございました。
1964 年に PBX の販売/施工業者として創業。その後ビジネス領域を拡大し、現在では法人顧客を対象にした幅広い経営情報ソリューションをワン ストップで提供しています。マイクロソフト関連のソリューションも早い時期から手掛けており、マイクロソフト アワードも数多く受賞。顧客に経営情報ソリューションの展開イメージをつかんでもらうため、2001 年には「情報創造コミュニティー」も開設しており、各種セミナーや体験講座なども積極的に開催しています。