月額課金方式でマイクロソフトのクラウド サービスを取り扱える CSP プログラム。そのパートナーとして活動しているクラウド リセラーが、どのようにクラウド ビジネスに取り組み、いかなる成果を上げているのか、興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。そこで、クラウド ディストリビューターであるダイワボウ情報システム株式会社 (以下、DIS) に複数の CSP パートナーをご紹介いただき、インタビューを行いました。今回ご登場いただくのは、株式会社ティーケーネットサービス (以下、ティーケーネットサービス) 。代表取締役社長の武田 勇人 氏、取締役 管理部長の大浦 恵里 氏、シニアコンサルタントの石垣 比呂志 氏に、お話をお聞きしました。
写真左より、リソースセンター ITコーディネータ シニアコンサルタント 石垣 比呂志 氏、代表取締役社長 武田 勇人 氏、取締役 管理部長 大浦 恵里 氏
―― まず御社の概要についてお教えください。
武田 当社はマイクロソフト テクノロジーに特化したソリューション プロバイダーです。このスタンスは、創業当時から変わっていません。
―― 御社の強みはどこにありますか。
武田 お客様の IT のサポートを自社のポリシーでやっていくという姿勢を貫いている点です。当社は、検討開始からお試し体験、本稼働準備、本稼働、さらには運用保守や最新情報のご提供まで、自社で一貫してサポートしており、これによってあらゆる企業が導入しやすい価格帯で、ハイ レベルのソリューションを提供しています。そのために高い技術力を持つ社員を揃えており、マイクロソフトのコンピテンシーも幅広く網羅しています。「ティーケーネットサービス」という社名も、テクノロジー (T) とナレッジ (K) を、ネット社会の中でサービスとして提供する、という意味を込めています。
▲ティーケーネットサービスが提供するサービスの流れ。これらすべてを一貫して、自社で提供しています。
―― 「マイクロソフト パートナー オブ ザ イヤー」も複数回受賞していますね。
武田 2010 年、2011 年、2013 年、2015 年の 4 回、アワードをいただきました。また 2014 年には「中小企業 IT 経営力大賞」も受賞しています。
―― これだけの受賞歴があるパートナーは、全国でも珍しいと思います。
武田 ありがとうございます。これもお客様の IT 環境を最適化してこうという取り組みが、評価された結果だと考えています。お客様が課題を抱えている場合、その背後に他の課題があることが少なくありません。そのような場合、たとえば Microsoft Office 365 だけを提供しても、問題を根本から解決することができないのです。そのため当社ではモデル ケースを用意し、体系立てたコンサルティングを行っています。これによって背後にある課題を可視化し、全体最適化を実現しています。
提供しているサービスの特徴
―― 具体的にどのようなコンサルティングを行っているのですか。
武田 当社の石垣が IT コーディネータの資格を持っており、その手法にそって進めています。
石垣 重視しているのは経営に貢献する IT 活用の実現です。まずお客様の話を聞かせていただき、中長期的な「あるべき姿」を提示して、提案を進めていきます。そのうえで、生産性向上やコスト削減、セキュリティなどの観点から、課題をどのように IT で解決していくかを明確化していきます。
武田 検討開始から課題の抽出、提案までは、基本的に無料で提供しています。その後でお試し体験をしていただき、ご評価いただいてからプロジェクトをキックオフします。
―― プロジェクト開始前にお試し体験ができるのはいいですね。どのような体験ができるのですか。
武田 壁面の大型ディスプレイやヘッド マウント ディスプレイを使用し、マイクロソフトのすべてのクラウド サービスを、疑似体験していただきます。最近では Microsoft HoloLens も使用しています。1 時間でひととおりの体験ができるので、IT に詳しくない方や忙しい経営者の皆様に、たいへん喜ばれています。
―― さらに本稼働後も、サポートが続くわけですね。
武田 そうです。当社ではプレミアム サポートというサービスをご用意しており、稼働後のシステムを常時監視し、改善の提案をします。また最新情報の提供や、マイクロソフトのカンファレンスへの同行も行っています。さらに自社でも「ソリューション ダイジェスト セミナー」を開催しています。
―― そのセミナーは、どの程度の頻度で開催されているのですか。
石垣 マイクロソフトのイベントが 5 ~ 6 月に開催されるので、その最新情報をいち早くお伝えする小規模なセミナーを、毎年 6 月に行っています。その後、実際に検証が行えるデモ環境を構築したうえで、大規模なセミナーを 9 ~ 10 月に開催しています。
―― デモ環境を構築してセミナーを行うというのも、興味深い取り組みですね。
大浦 このようなことを行っているのは、このセミナーには 2 つの目的があるからです。1 つはお客様に最新情報を提供すること、もう 1 つはそれがお客様に合うかどうかを検証することです。この両方の観点で、お客様に密着しながら、一緒に考えることが重要だと考えています。
武田 マイクロソフトの品川オフィス ツアーや、マイクロソフトとの共催セミナーを行うこともあります。お客様だけではなくマイクロソフトとも、密着したいい関係を築いています。
マイクロソフト クラウドへの取り組み
―― マイクロソフトのクラウドは、いつごろから取り扱っていますか。
武田 Office 365 は、まだ BPOS (Microsoft Business Productivity Online Suite) だったころから取り扱ってきました。Microsoft Azure も、Windows Azure や Microsoft SQL Azure が発表された当時から使っており、2015 年に最初の提案を行っています。
石垣 Microsoft Intune や Microsoft Dynamics 365 にも、早い時期から取り組んでいます。まだ Microsoft Dynamics CRM だった 2014 年に自社導入して顧客管理を行い、「これは使える」と感じました。Office 365 や Azure もそうですが、まず自社で使って成功体験を積んでから、その熱を込めてお客様に提案しています。最近では Enterprise Mobility + Security (EMS) も取り扱いを始めています。
―― マイクロソフトのクラウドを網羅していますね。
武田 以前は Office 365 と Azure を 2 本柱として、基盤系を中心にソリューションを提供してきましたが、現在は積極的に領域を拡大しています。
大浦 Office 365 と Azure に関しては、もはや競合はいないと自負しています。技術力、提案力、コンサルティング力すべてにおいて、他社に負けない自信があります。同業他社の方からは「ティーケーネットサービスは尖っているね」と言われることが多いです。
―― 尖っていることを示す事例はありますか。
大浦 もう 2 年位前になりますが、株式会社フタバ様の事例があります。オンプレミスだった BCP 対策を、Azure Site Recovery (ASR) でハイブリッド化したところ、この事例に関して「利用者の声を聞きたい」と、インドで ASR を開発しているマイクロソフトの開発者が来日しました。この時はまだ ASR の利用には System Center が必要だったのですが、「System Center の導入を中小企業に提案することは難しい、できれば Hyper-V だけでソリューションを組めるようにしてほしい」という要望を出し、その後これが製品に反映されることになりました。
―― それはいいお話ですね。ところで DIS との付き合いは、もう長いのですか。
武田 当社が創業した当初からのお付き合いです。DIS は全国に数多くの支店があり、担当者が直接来てくださるので、フェイス トゥ フェイスで話ができる点に魅力を感じています。当社ではソリューション提供の際に、サーバーや PC を扱うこともあるのですが、それらの仕入れの時も親身になって対応してくれます。CSP も DIS が取り扱いを始めてから、すぐに参加しました。
―― CSP にはどのようなメリットがあるとお感じですか。
武田 決済の方法がシンプルになりました。以前はクレジット カードでの決済だったので、当社が請求代行する、という方法を取ることもあったのですが、CSP ならその必要がなくなります。
大浦 これによってお客様の負担が軽減できます。また当社にとっても、やりやすいしくみだと思います。
今後の展望
―― 最後に、今後の展望についてお聞かせください。
武田 今後は HoloLens やコグニティブ サービスにも力を入れていきたいと考えています。既に HoloLens は小柳建設様への導入支援を行っており、これに関するお問い合わせを他の会社様からいただくことも増えています。またコグニティブ サービスに関しては、先日 DIS の「PC-WebZine」から取材を受け、IoT に絡めたお話をさせていただきました。
大浦 当社のお客様のシステムも、お付き合いが長くなることで、どんどん高度化しています。最近では経済産業省様や日経BP社様から、当社のお客様のシステムを見学したいというご依頼をいただくことも増えています。
武田 このようなご評価も、当社のブランド形成につながっていると感じています。これからも、マイクロソフト テクノロジーへの特化、先進性の追求、お客様との密着という 3 つのスタンスを変えることなく、ハイ レベルなソリューションを提供し続けたいと思います。
―― 本日はありがとうございました。
創業当初から一貫してマイクロソフト テクノロジーに特化してきたソリューション プロバイダー。顧客の現状と課題の整理から、全体最適化のための提案、お試し体験、システム構築/移行、本稼働、さらにはその後の運用保守や最新情報の提供に至るまで、すべてを自社で一貫してサポートしています。これによってハイ レベルなソリューションを、あらゆる企業が導入しやすい価格帯で提供。最先端の技術や知識も積極的に導入しており、時代をリードし続けています。