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Outlook が原因でセッション数が増加する? 実際の動作と対処方法

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こんにちは。日本マイクロソフト Outlook サポート チームです。

 

Exchange Online 環境などで、Outlook によるセッション数増加についてのお問い合わせをいただくことがよくあります。

Exchange Online を含む Exchange Server 2013 以降の環境では、Outlook による接続プロトコルは MAPI over HTTP もしくは RPC over HTTP が使用され、接続するメールボックスが多いほどセッション数が増えるため、ネットワークの管理者には Outlook によるセッション数が大きな関心となります。

 

それでは、Outlook による実際のセッション数はどうなっていて、また、セッション数を低減する方法はないのでしょうか。

今回はそういった内容についてご紹介いたします。

 

Outlook の [接続状態] では実際の TCP セッション数は確認できない

Outlook 起動中 Windows 画面右下に表示されている Outlook のインジケーター (小さなアイコン) ctrl を押しながら右クリックすると、[接続状態] のメニューが選択できます。

この [接続状態] では下図のように Outlook による各接続が確認できます。

今回の [接続状態] では、Outlook を起動しているユーザーである user06 の接続がパブリック フォルダーやオンライン アーカイブを含めて 5 つ、room1 への接続が 1 つで、合計 6 つの接続が確認できます。

これを見て Outlook によるセッション数は 6 だと思われるかもしれません。しかし、これは実は間違いです。

 

ネットワーク管理者が関心のあるセッション数とは、TCP セッションの数になります。

TCP セッションの数が多いとプロキシ サーバーのポートが枯渇したりなど、ネットワーク上の問題が発生することがあるためです。

 

Outlook の [接続状態] から確認できるのは MAPI セッションであり、TCP セッションの数とはイコールではないため、実際の TCP セッション数とは異なります。

また、[接続状態] には一時的に発生した接続も一定時間表示を残す動作もあるため、[接続状態] から TCP セッション数を確認することは出来ません。

 

Outlook はメールボックスへの接続以外にも AutoDiscover EWS (Exchange Web Service) 接続でも別途 TCP セッションを張って接続を行いますが、これらも [接続状態] では確認できません。

なお、AutoDiscover EWS TCP セッションは通常ごく短時間発生するもので、処理が終了すると直ちに切断されます。

 

TCP セッション数の確認方法

実際の TCP セッション数を確認する手段としてはコマンド プロンプトから Netstat コマンドを使用する方法もありますが、

TcpView と呼ばれるツールを使用することでより分かりやすい形で確認が可能です。

 

TcpView は以下のサイトからダウンロードできます。

 

Title : TCPView for Windows

URL : <https://technet.microsoft.com/ja-jp/sysinternals/bb897437>

 

TcpView を実行すると以下のような情報が確認できます。

 

ここで、以下の条件に合致するものが Outlook による TCP セッションです。

[Process] 項目が “OUTLOOK.EXE

[State] 項目が “ESTABLISED

 

一般的には Outlook 起動時がもっとも TCP セッションの数が多くなりますが、TcpView では時間の経過とともに徐々にセッションが切断されて減っていく様子が確認できるはずです。

 

とにかく Outlook によるセッション数を減らしたい

それでは本題ですが、Outlook ではどのようにすればセッション数を減らすことができるのでしょうか。

 

[共有フォルダーをダウンロード] をオフにする

Outlook をキャッシュ モードで使用する場合、既定で [共有フォルダーをダウンロード] のチェックが入っており、一度参照した共有予定表などの情報が常にバックグラウンドで同期されてキャッシュを最新の状態に保とうとします。

 

しかし、この動作により Exchange Server 2013 以降の環境ではセッション数増加につながる場合も多いため、セッション数の懸念がある環境ではオフでご利用いただくことをお勧めしています。

また、特に Exchange Online 環境については、Outlook のパフォーマンスの観点でキャッシュ モード有効でご利用いただき、

セッション数の観点で [共有フォルダーをダウンロード] をオフでご利用いただくことを推奨しています。

 

この設定や動作については以下の記事もご覧ください。

 

Title : Exchange キャッシュモードとオンラインモードのメリット・デメリット/[共有フォルダーをダウンロード] のメリット・デメリット

URL : <https://blogs.technet.microsoft.com/outlooksupportjp/2015/07/07/exchange-12487/>

 

 

参照する予定表の数を減らす、不要なアクセス権の付与を控える

Outlook をキャッシュ モード無効で使用する場合や、[共有フォルダーをダウンロード] をオフにしてバックグラウンドのキャッシュのためのセッションを無効化にした場合も、参照する予定表の数が多い場合は相応のセッションが必要になります。

また、参照者以上のアクセス権を持っている場合、対象の予定表を持つメールボックスへログオンしてセッションを張った状態が続きますが、空き時間情報以下のアクセス権の場合は一定時間後にセッションが切断されます。

 

また、予定表に限らずフル アクセス許可など他のメールボックスへの委任により Outlook に別のメールボックスが自動でマッピングされるという動作もあります。

 

このことから、Outlook 上でチェックを入れて表示している予定表の数を最小限に抑える、不要なアクセス権の不要はできる限り行わない、という運用上の注意点を守ることもセッション数の増加を抑えるためには必要になってきます。

 

こういったベストプラクティスをマイクロソフトは様々な場所でご案内するようにしていますが、なかなかそうもいかない、というお客様もいらっしゃいます。

ただ、こうしたベスト プラクティスには理由があり、こうした使用方法を行わない場合は相応のリソース (プロキシの増設、ネットワークの増強など) が必要になります。

いわゆるトレード オフと言えますので、要件とあわせてご検討ください。

 

その他の備考

Exchange Online への接続はプロキシ サーバーを使用せずに直接接続することでセッション数の影響によるネットワーク機器の管理工数を削減できたというお客様も多くいらっしゃいます。

 

通常のインターネットのブラウジングはプロキシを使用し、Exchange Online への接続のみを直接接続にしたいという場合、プロキシの自動構成ファイル (.pac) を使用するなど様々な方法が考えられます。

また、サード パーティ製の機器でもそうした機能を実装したものがあると把握しています。

 

いずれの場合も、条件判定に使用される Office 365 URL IP レンジを管理者側で最新に保つ必要がありますので、こちらのページやページ内のリンクから登録可能な RSS フィードで更新情報をご確認ください。

 

本情報の内容 (添付文書、リンク先などを含む) は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。


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