(この記事は 2017 年3 月 6 日にMicrosoft Partner Network blog に掲載された記事 On-Premise Dynamics vs. Dynamics 365: There’s a World of Difference の翻訳です。最新情報についてはリンク元のページをご参照ください。)
Dynamics 365 の登場により、CRM や ERP は明るい未来を迎えようとしています。ただし、オンプレミス モデルからクラウドへの移行に伴って、パートナー様はいくつかの課題に直面することになります。
従来のオンプレミスの世界では、パートナー様はロイヤルティの高いお客様にソフトウェアの販売や機能強化を行うことに加え、実装・統合・データ移行などのサービスを提供することで収益を生み出してきました。そのために、長期間にわたるセールス サイクルの中でお客様と打ち合わせを重ね、要件収集、カスタム製品のデモ、詳細な提案、作業の定義などを経て、契約に結び付けることが求められました。
マーケティングでは、ダイレクト メール、メール キャンペーン、テレマーケティングなどの手法が一般的でしたが、顧客リストを購入したり潜在顧客のデータベースを維持する必要がありました。また、ソーシャル メディアなども利用できないため、購入したリストに掲載されている顧客にしかアプローチできませんでした。
しかし、Dynamics 365 が登場した今、状況は大きく変わりました。Dynamics 365 パートナー様の配信モデルはこれまでとまったく異なり、料金モデルや購入モデル、セールス サイクル、さらには購入するお客様までもが一新されます。新しい Dynamics によってパートナー様のビジネス チャンスが広がるのです。ここからは、オンプレミスの Dynamics と Dynamics 365 の違いがビジネスにどのような影響を及ぼすのかを簡単にご説明します。
クラウド ファーストかどうか
Dynamics 365 は、Microsoft Dynamics ERP と Microsoft Dynamics CRM の優れた機能が完全に統合されたクラウド ベースのソリューションであり、利用した機能の分だけサブスクリプション料金が加算されるしくみです。従来のオンプレミスの世界では、企業がソフトウェアを購入し、年次の更新料を支払いながら所有していました。ソフトウェアを所有するには、必要なハードウェアやインフラストラクチャを購入・維持しなければならず、ソフトウェアの新規バージョンがリリースされるたびにアップグレードしなければなりませんでした。しかし Dynamics 365 では、これらの追加コストが不要です。
Dynamics 365 では、多種多様な新機能が利用できます。さまざまなビジネス プロセス アプリをはじめ、機械学習アプリ、分析アプリなど、魅力的なツールが満載です。オンプレミス アプリケーションで同等の機能を提供しようとすると、それぞれのアプリケーションを個別に導入しなければなりません。
また、Dynamics 365 を扱うパートナー様には新たなメリットが生まれます。機能面で優れているのはもちろんですが、セールス サイクルを確実に短縮できるほか、これまで地域が限られていたビジネスをグローバルに展開するチャンスも広がります。クラウド ソリューションである Dynamics 365 を販売するのに、地理的な制限はありません。
Dynamics をサービスとして販売
お客様にとっては、Dynamics 365 を SaaS (サービスとしてのソフトウェア) モデルで利用できれば、ソフトウェアやハードウェアを購入する初期費用だけでなく、継続的なメンテナンスやアップグレードの費用も不要になります。一方、パートナー様にとっては、メリットとデメリットの判断が少々複雑になります。オンプレミス モデルから移行すると、コンサルティング サービスによる収益の比重が大きくなります。また、セールス サイクルを短縮できれば、売上数のアップが見込めます。
利用した機能の分だけ支払うというモデルは SaaS モデルの主な特徴であり、お客様とパートナー様の双方にメリットがあります。オンプレミスの Dynamics にかかるソフトウェアやハードウェアの初期費用は、規模の小さな企業にとってあまりにも高額です。一方 Dynamics 365 は、ユーザーが数名しかいない企業でも手頃な価格で利用でき、数千ユーザーを抱える企業にとっても同様に魅力的です。このしくみにより、マイクロソフトとパートナー様の双方のビジネスの成長が期待できます。
マーケティング戦略の変化
オンプレミスの Dynamics を扱うパートナー様が従来どおりの方法で営業を行っていたように、お客様も従来どおりの方法で購入していました (現在進行形の企業もあります)。これまでのお客様は、対面での打ち合わせや大がかりな製品デモを実施することが当たり前と考えており、パートナー様もそれに対応していました。
しかし、こうした考え方は、Dynamics 365 のリリース以前から変化し始めています。潜在顧客は自ら調査を行い、パートナー様に接触する時点で製品やサービスについて熟知していることがわかりました。しかも、Dynamics の購入を既に決めている場合も少なくありません。これは、インターネットやソーシャル メディアが、効果的なマーケティング手段であることを証明しています。
Microsoft Dynamics 365 のリリースは、マーケティングにさらに大きな変化をもたらしました。若い世代の購入者は、インターネットを自然に使いこなし、製品やサービスについてオンラインで調査してから購入することに慣れています。こうしたユーザー層に向けたマーケティングを実施しなければ、ビジネス チャンスを逸してしまうでしょう。
若い世代に向けてクラウド ベース サービスのマーケティングを行うには、変化するビジネス モデルに合ったマーケティング戦略が必要です。ぜひ、以下のヒントを参考にしながら考えてみてください。
- 応答性に優れた Web サイトを作成する。お客様は外出先にいることが多いので、タブレットやスマートフォンでもフルサイズの画面と同じようにサイトを適切に表示できなければなりません。興味を持ったサイト訪問者が、必要な情報 (電話番号、価格の詳細など) をすばやく簡単に見つけられることが重要です。そうしなければ、競合他社にお客様を奪われてしまうおそれがあります。
- コンテンツに力を入れる。検索エンジンのヒット数を増やし、お客様の信頼を得て、製品やサービスに付加価値をもたらすには、デジタル コンテンツが欠かせません。ページを投稿してデータを開示するだけでは不十分です。競争力を高めるには (SEO を考慮して) ブログを頻繁に更新することを検討してください。
- AppSource にアプリを掲載する。今急速に拡大している AppSource マーケットプレースは、自社の Dynamics 365 ソリューションを潜在顧客に知ってもらうために大いに役立ちます。
- ソーシャル メディアを利用する。自社のデジタル コンテンツを複数のソーシャル メディア チャネルで配信し、閲覧者とのコミュニケーションを図ります。そうすることで、検索エンジン ランキングが上昇し、Web サイトのアクセス数が増え、認知度が高まり、自社サービスへの理解が深まります。
将来を見据えた計画立案
Dynamics 365 ビジネスを立ち上げるには、新しい事業を始めるときと同じく、包括的で体系的な計画と根気強さが必要になります。質問を投げかけ、事前調査を行い、どのようなお客様をターゲットとするか、また、お客様から何を求められているかを判断します。計画を立てたら、それを完遂するための十分な資金とリソースを確保し、粘り強く取り組んでください。
この記事は現在の動向を踏まえたものですが、当社 Marketing Monarchs (英語) では今後の動きを常に注意深く見守っています。達観しすぎかもしれませんが、モバイルの世界では変化を避けることはできません。さあ準備は良いですか?
Dynamics 365 でビジネス チャンスを拡大しましょう。ぜひ皆様のご意見をお聞かせください。