Office 365 はサブスクリプション (定期購読) による Office クライアントおよびクラウド サービスの名称、年号の付く Office 2016 はオンプレミスの Office クライアントの名称、という違いは世の中にも認知されてきたのではないかと思いますが、企業向けの Office 365 E シリーズに含まれる Office クライアントである「Office 365 ProPlus」と、Office 2016 の最上位エディション「Office Professional Plus 2016」は何が違うのか、ということを中心に、この記事では解説していきます。
Office 365 ProPlus vs Office Professional Plus 2016、大きな違いは買い切りかどうか、新機能の提供、ライセンス管理
Office 365 ProPlus も Office Professional Plus 2016 も、現時点では両方とも同じ Office クライアント、Word 2016、Excel 2016、PowerPoint 2016、Outlook 2016、OneNote 2016、Publisher 2016、Access 2016 、Skype for Business 2016 が含まれています。また、「エンタープライズ向け機能」と呼ばれる機能も同様に使うことができます。
ここでは、この両者のどちらを選択すべきかの基準について、3 点にまとめて整理してみました。
1. 買い切りかサブスクリプションか
- 永続型ライセンス vs サブスクリプション ライセンス: Office Professional Plus 2016 はいわゆる従来の「買い切り型」ライセンスのSKUです。通常は、購入時に一括でライセンス料を支払うことになります。一度購入したライセンスはずっと持っておくことが可能です (永続型ライセンス)。それに対して、Office 365 ProPlus はサブスクリプション型であり、月額料金として毎月、利用を終了するまで支払いをすることができます (ライセンスの種類のよっては、3 年一括払い、1 年一括払いなどを行うこともできます)。支払いをやめた時点で、ライセンスの権利は消滅します。
- ユーザーの増減への対応: Office Professional Plus 2016 では、一度ライセンスを購入するとユーザーが減った時に返品はできませんが、Office 365 ProPlus であればユーザーが減った時にはサブスクリプションを減らせばいいので、適正なコストを維持することができます。
2. 新機能の提供の違い
- OneDrive for Business ストレージ: Office 365 ProPlus ユーザーには、1 ユーザー当たり 1TB の個人用クラウドストレージが付属します。Office Professional Plus 2016 では付属しません。
- 毎月提供される累計 120 を超える Office クライアントへの新機能: Office Professional Plus 2016 に付属の Office 2016 クライアントは、リリース当初の機能から新機能が追加されることは基本的にありませんが、Office 365 ProPlus では、毎月さまざまな新機能が Office クライアントに追加されていきます。2017 年 1 月現在、累計で 120 を超える機能が追加されています。(追加された機能の詳細は Office 365 の新機能で確認できます)
- メジャーバージョンアップへの対応: 今後、Office 2016 の後継の Office が出たときに、Office Professional Plus 2016 は Office 2016 のままですが、Office 365 ProPlus は次のバージョンの Office クライアントのライセンスを追加コストなしで得ることができます。今後、Office 365 のシステム要件変更により、2020 年 10 月以降はメインストリームサポートフェーズの Office クライアントまたは Office 365 ProPlus のみが接続可能となりますので、いまから Office 365 ProPlus に変えておくことで備えることが可能です。
(※ Office Professional Plus 2016 も「ソフトウェア アシュアランス」という形で一定期間中のメジャーバージョンアップで次期バージョンにアップグレードする権利を担保する仕組みはあります)
3. ライセンス管理の仕方の違い
- デバイスライセンスかユーザーライセンスか: オンプレミス型である Office Professional Plus 2016 では、PC 1 台に対して 1 ライセンスが必要 (デバイスライセンス) です。対して、Office 365 ProPlus は 1 ユーザー毎に 1 ライセンスが必要 (ユーザーライセンス) です。PC の黎明期には、ユーザー数人が 1 台の PC を共同利用することが多かったため、数の少ない PC にライセンスが紐づくデバイスライセンスが費用を抑える仕組みでした。しかし、1 人 1 台、もしくは 1 人で複数台の PC を利用する最近の環境では、ユーザーライセンスのほうが費用が安く抑えられます。
- ライセンス管理業務を管理画面でラクラク: 購入したライセンスが適切な本数だけ使われているか、またどの PC にインストールされているかを管理することは、実際にはとても大変な業務です。Office 365 ProPlus を利用している場合は、Office 365 管理ポータルから、どの PC にどのライセンスが使われているかを把握することができますので、管理が楽になります。
- モバイルデバイスを含む最大 15 台のデバイスにインストール可能: Office 365 ProPlus をご利用の場合は、PC、タブレット、スマートフォンに最大各 5 台ずつ、合計 15 台のデバイスにインストールすることができます。Office Professional Plus 2016 はデバイス毎にライセンスの購入が必要です。
ついでにこちらも比較…
Office と Office 365 については、他にも気になる比較があるかと思います。この機会にいろいろな比較をまとめておきました。
- Office Standard 2016 vs Office Professional Plus 2016: この 2 つの SKU は両方とも法人向けの SKU であり、入っている Office クライアントの種類と「高度なエンタープライズ向け機能」の利用可否が異なります。Office Standard 2016 では、Word 2016、Excel 2016、PowerPoint 2016、Outlook 2016、OneNote 2016、Publisher 2016 が含まれていますが、Office Professional Plus 2016 ではこれに加えて Access 2016 、Skype for Business 2016 が含まれています。「高度なエンタープライズ向け機能」とは、コンプライアンスとアーカイブ、ビジネス インテリジェンス、エンタープライズ VoIP、Information Rights Management とポリシー機能、ユニファイド インスタント メッセージング/プレゼンス/音声、コラボレーションの各機能で、これらは Office Standard 2016 に付属の Office クライアントではご利用いただけません。
- Office Professional 2016 vs Office Professional Plus 2016: この 2 つの SKU は名前がとても似ていますが、Office Professional 2016 は家庭向けの最上位 SKU、Office Professional Plus 2016 は法人向けの最上位 SKU であり、対象顧客が異なっています。家庭向けと法人向けでは、インストールできるライセンス数、利用可能なユーザーの概念などが異なっています。Office クライアントで両者に含まれる違いですが、Office Professional 2016 には Word 2016、Excel 2016、PowerPoint 2016、OneNote 2016、Outlook 2016、Publisher 2016、および Access 2016 が含まれています。Office Professional Plus 2016 では、これらに加えて Skype for Business 2016 が含まれています。加えて、グループ ポリシー、ボリューム ライセンス認証、ターミナル サービス、アプリのテレメトリなどを含む「エンタープライズ向け機能」は、法人向けの Office Professional Plus 2016 のみでご利用になれます。Office Professional 2016 は家庭向けのダウンロード版のみ、Office Professional Plus 2016 はボリュームライセンスで購入します。
- Office 365 Business vs Office 365 ProPlus: 前者は 300 名以下の中小企業向けの Office 365、後者はサイズによらない法人向けの Office 365 です。Office 365 Business には、Word、Excel、PowerPoint、OneNote、Outlook、Publisher、Access が含まれており、Office 365 ProPlus にはこれらに加えて Skype for Business が含まれています。Office 365 Business には当初 Access が含まれていなかったため、中小企業に取ってこの 2 つの SKU のどちらを採用するかは Access を使うかどうかが最大の要因でしたが、2017 年頭の更新で Office 365 Business にも Access が含まれるようになったため、判断基準は最大人数と Skype for Business クライアントの利用可否、および「エンタープライズ向け機能」の利用可否となりました。また、クラウドサービス部分も含む Office 365 Business Premium 利用時のみの限定機能である Microsoft Bookings を使いたい場合は、Office 365 Business Premium を使うという選択肢も出てきました。
- Office 365 Solo vs Office 365 Business: 前者は家庭向けの Office 365、後者は 300 名以下の中小企業向けの Office 365 です。付属している Office クライアントはどちらも Word、Excel、PowerPoint、OneNote、Outlook、Publisher、Access です。OneDrive や Skype などのクラウドサービス部分は、前者は家庭向けのもの、後者は一般企業向けのものが付属している点と、モバイルを含めたライセンスの考え方と仕組みが異なります。
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