(この記事は 2017 年 3 月 5 日にMicrosoft Partner Network blog に掲載された記事 How to Design a Value Prop that Gets Attention の翻訳です。最新情報についてはリンク元のページをご参照ください。)
パートナー様とお話ししていると、マーケティングの基本概念について、中でも特に価値提案の作り方について、よく話題になります。どの企業も価値提案を用意しているものの、その魅力を正しく理解してもらうためにはちょっとした手間が必要です。
ごく簡単に説明すると、価値提案とは、製品やサービスによって顧客に提供されるはずのメリットのことであり、これによって企業は独自の強みを活かして顧客の課題を解決できることをアピールします。
私はパートナー様がより魅力的な価値提案を作成できるように、ある書籍を参考にしてお手伝いしています。その書籍とは、アレックス・オスターワルダー氏、イヴ・ピニュール氏、グレッグ・バーナーダ氏、アラン・スミス氏による著書『バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る』です。同書は、顧客の心に響くメッセージを考えるためのヒントについて、イラストを交えわかりやすく解説しています。今回はその内容をご紹介します。
ステップ 1: 顧客をよく観察する
まず、顧客のことをじっくりと観察して、顧客のペイン (リスクや障害など) を見つけ出します。そのために次の 3 つのポイントに分け、顧客についての理解を深めます。
- 顧客の仕事 – 顧客が職業や人生を通して達成したいことを、顧客自身の言葉で表現したもの
- 顧客のペイン – 顧客が仕事を達成しようとしているときに直面する悪い結果、リスク、障害
- 顧客のゲイン – 顧客が達成したいことや、顧客が求める恩恵
ステップ 2: 顧客のニーズに合致する価値提案を描く
価値提案を作成するにあたり、自社の製品やサービスについて次の 3 つのポイントから分析します。
- 製品とサービス – すべての製品やサービスをリスト化し、価値提案のベースとする。
- ペイン リリーバー (悩みを取り除くもの) – 製品やサービスによって顧客の悩みを取り除く方法を考える。
- ゲイン クリエイター (恩恵をもたらすもの) – 製品やサービスによって顧客に恩恵をもたらす方法を考える。
顧客が自社に対して感じている魅力や、課題を解消できる自社の強みなどを顧客から聞き出して、それを基に価値提案を作成します。たとえば、ある顧客が地元の企業であることと、問題をすばやく解決できることを高く評価しているとします。この顧客がクラウド上にデータや情報を保存することを不安に思っているときには、こんな価値提案が有効でしょう。「Acme Tech Partners は貴社と同じ地域を拠点としており、どんな問題でも当社のスタッフがスピーディに解決します。Azure に関する豊富な経験を誇る当社が、皆様の業務を妨げることなく、大事なデータを安全にお守りします」
価値提案と顧客プロフィールが重なり合うところに、フィット (合致) が生まれます。
ステップ 3: 価値提案の精度を高める
重要なのは、明確な価値提案を作成することです。顧客がその価値をどのように利用するのか、はっきりと理解する必要があります。『バリュー・プロポジション・デザイン』には、具体的な価値提案を描けるように、顧客の仕事を次のように分類して掘り下げる必要があると書かれています。
- 機能的な仕事 – 顧客が達成しようとしている具体的な任務または解決したい課題 (例: 芝を刈る)。
- 社会的な仕事 – 顧客が周囲から良く見られるため、または権力やステータスを得るための活動 (例: トレンディに見せる)。顧客自身が他人にどう見られるかを左右するような行動。
- 個人的/感情的な仕事 – 顧客の気分が上向いたり安心したりすること (例: 良い買い物をしたと満足する)。
- サポート的な仕事 – 価値を購入すること、価値を共創すること、価値提案のライフ サイクルを終わらせることに関係する仕事。
仕事の前後や最中に困っていることや、実際に仕事の妨げになっているものについて、顧客に直接問い掛けます。たとえば、障害やリスク、深刻度などを聞き出します。
ペインの根本原因を解明するには、以下の項目を確認してみましょう。
- 顧客をいやな気分にさせているもの
- 顧客が直面している主な問題や課題
- 顧客が恐れているリスク
- 顧客にとって一番の心配事
- 顧客が陥りがちな失敗
- 顧客が価値提案を取り入れる妨げになっているもの
『バリュー・プロポジション・デザイン』によると、上記と同じ方法でゲインも明らかにすることができます。顧客に必要なゲイン、期待されるゲイン、望ましいゲインとは何かを考えます。さらに顧客が予想していないようなゲインについても考え、その実現を目指しましょう。そのためには次の項目が良いきっかけとなります。
- 何を節約できれば顧客は喜ぶ?
- 期待されている品質の水準は?
- 現在の価値提案への満足度は?
- 顧客の仕事や生活に役立つものは?
- 顧客が夢見ているものは?
- 顧客にとって成功と失敗とは?
このように、価値提案は顧客の声に真摯に耳を傾け、ニーズを最優先に考慮し、それに応えることで作られます。最高の価値提案は、顧客の期待を超える成果をもたらし、顧客を幸せにします。Smart Partner Marketing ページのこちらの動画 (英語) では、パートナー様独自の魅力的な価値提案の作成に役立つヒントを紹介しているので、ぜひご覧ください。