(この記事は 2016 年11 月29 日にMicrosoft Partner Network blog に掲載された記事 6 Tips for Building Outstanding Product IP の翻訳です。最新情報についてはリンク元のページをご参照ください。)
この数年、マイクロソフトは Office 365、Azure、Dynamics などの製品の機能を補完、拡張する独自の知的財産 (IP) の構築 (英語) をパートナー各社に強く推奨しています (英語)。マイクロソフトがパートナー企業に協力を求めている主要な分野は、製品ライセンスの再販から、独自のツールやソフトウェアの構築へと明らかに変化しています。こうした変化の一因に挙げられるのが、クラウドの持つ性質です。マイクロソフトのクラウドはマイクロソフトによって展開されており、パートナー側でのカスタマイズが困難であるため、オンプレミス型のプロジェクトを手掛けているパートナー企業は価値を創出する新しい方法を見つけ出し、サービス ベースのビジネスを構築する必要に迫られています。
これが大きな変化であることは言うまでもないでしょう。企業によっては、業務の進め方に大幅な変更が必要になるかもしれません。しかし裏を返せば、これまでに蓄えたスキルや経験を活かして、画期的な製品やサービスを新たに作り出せる絶好のチャンスにもなるのです。
新たに生まれる収益
IP の創造が新たな収益につながることは明らかです。ヨーロッパの企業を対象に実施された調査 (英語) によると、知的財産権を登録している企業は、登録していない企業に比べて従業員 1 人あたりの収益が平均 29% 高いことがわかりました。さらにこちらの調査 (英語、Microsoft Partner Database から参照可能) では、IP を持つテクノロジ企業の収益は IP を持たない企業の収益を大きく上回るという結果も出ています。
パートナー各社は、これまでどおりマイクロソフト製品の再販やマネージド サービスの提供で収益を上げていくことも可能です。しかし、独自の IP を構築した企業は、サードパーティのソフトウェア製品を販売するだけの企業に比べて、ほぼ 2 倍の収益を獲得しているという調査結果を見逃すことはできません。
独自の価値の創造
私たち ISAAC Intelligence (英語) がマイクロソフト パートナーに登録したのは比較的最近のことですが、当社は長い年月を掛けて (MPNに参加する前から日々) クラウド システムによって実現されるエンゲージメントについて研究し、クラウド システムがもたらす価値を分析してきました。その中でわかったのは、どんなシステムもエンド ユーザーによって利用されなければ、価値がないということです。実際に利用されるうちに、組織の日常業務に欠かせないものになっていくのです。
ISAAC のソリューションは、お客様がご利用中のソリューションを有効に活用できるよう、特別なカスタマー エクスペリエンスを提供します。そのメリットの源となるのが、ユーザーの業務を支援する製品です。当社のイントラネット、CRM、HR の主要ソリューションはそれぞれ展開してすぐに、ビジネス指向型からユーザー指向型へと切り替わります。いずれのソリューションも使いやすく、ユーザーにとって測定可能な成果を短期間でもたらしてくれます。
何かを創造するには、多くの知識が必要です。IP を生み出すときも例外ではありません。そこで当社がどのようにアプローチしているのかご紹介します。
1.技術ではなくビジネスに関する問題に取り組む
多くの場合、技術革新によって解決できるのは、あくまで技術的な問題です。しかし当社では技術的な問題にとどまらず、ビジネス上の問題を解決するべく取り組んでいます。多くの企業が同じように直面する問題を特定し、テクノロジに関するノウハウを利用して解決できるようになれば、自社のソリューションを必要としているお客様をいっそう見つけやすくなります。
ソリューションを提供して、お客様社内の個人やグループにとって意義のある成果を達成できれば、すぐにパートナーとしての信頼を獲得できます。たとえば、お客様がその存在にすら気付いていない問題を解決することは大いに有効でしょう。多忙な企業では、問題の根本原因を突き止めようとしても、内向きな思考に陥ってしまいがちだからです。
2.常にシンプルを心掛ける
アジャイル型のソフトウェア開発は、IP を創造するうえで特に便利な手法です。まず主要機能に的を絞って製品を開発し、ユーザー テストを実施します。このとき、既存のお客様にテストしていただくことが重要です。そうすることで、実際にお客様から求められている以上に大規模で複雑な製品を開発してしまうといった失敗を回避できます。テスト ユーザーの意見を取り入れ、製品に繰り返し調整を加えることによって、間違った方向に進むリスクを最小限に抑えます。
3.早い段階で概念実証を行う
製品やソリューションのワーキング モデルが完成したら、それが実現可能かどうかを必ず検証しましょう。「次に来るのは絶対にこれだ」という確信があっても、まずは市場テストを実施し、次の点を確認する必要があります。
- お客様に購入してもらえそうか
- 拡張は可能か
- 競合他社が解決できない問題を解決できるか
- 対象となる市場の規模は十分な大きさか
- どういった販売ルートが最適か
4.使えるリソースを活用する
マイクロソフト パートナーはマイクロソフト パートナー コミュニティやアプリケーション ビルダー センターなどを通じて、無料のヘルプやサポートを利用できます。たとえば、Azure の使い方に関するアドバイスから、完成した製品のマーケティングのヒントまで、さまざまな場面に利用できるリソースが提供されています。
また、IP についてマイクロソフトの担当者に相談し、きめ細かなサポートを受けることもできます。現在の人脈や関わりのある人々についてよく把握し、以前知り合った購買担当者のうち購入に至りそうな人はいないか、法務面や財務面のサポートを提供してくれる人はいないかなどを確認しておきましょう。個人的な付き合いや関係を築くことにも大きな価値があります。
5.既存のマイクロソフト製品を基盤とする
今あるものをまたゼロから作り直しても意味がありません。マイクロソフトは豊富な実績とスキルを兼ね備え、多岐にわたるすばらしい製品を提供しているため、パートナー各社はそうした製品をそのまま利用することができます。パートナーが機能を最大限に活用できる製品としては、Office 365、SharePoint Online、OneDrive、Skype、Delve、Azure、Dynamics などが挙げられます。また、創造性を刺激する Microsoft Graph などの便利なツールも利用できます。この Microsoft Graph を利用すれば、Office 365 内の膨大な情報を活用できるようになると共に、さまざまなデータ ポイントを使用して機械学習に対応した役立つツールを作成できます。
6.最後まで気を抜かない
最初の重要事項として、製品やソリューションが正常に機能するか確認する必要があります。ビジネスに影響が出る段階になってから大きな障害が発生することを心配せずに済むよう、最後まで正常に機能するかどうかにまず重点を置いてください。とは言え、最終的にはアイデアとメソッドを守る (ために知的財産権を登録する) 必要があります。こちらの Forbes の記事 (英語) では、知的財産権の概要と、アイデアを盗まれないようにするためのベスト プラクティスが紹介されています。
マイクロソフト パートナーとしての歩み
SharePoint アプリケーション (英語) や Office 365 アプリケーション (英語) を開発した (ほとんどの) 時間は、私たちにとって非常に楽しいものでした。アプリケーションには ISAAC の DNA が受け継がれ、(ISAAC とお客様に) 共通するロジックを基に構築されています。当社はこれまでさまざまなビジネスに携わったり関与したりする中で実際に経験してきたような問題を解決するために取り組んできました。お客様企業のワークフローを簡素化し、プロセスを自動化することが私たちの使命であり、その成果を上げることができれば、お客様との結び付きを強め、企業として大きく成長できると考えたためです。
当社が直感を信じ、期待を胸に取り組んだかつての日々は、無駄ではありませんでした。100% のリピート率を達成し、お客様の従業員の皆様との大規模なエンゲージメントを実現しているという事実が、その意義を証明しています。皆様もぜひ IP の世界に飛び込んで、その景色を確かめてください。
既に製品に関する IP を創造して、業界で一歩リードすることに成功したパートナー様がいらっしゃいましたら、ページ下部のコメント欄でぜひそのご経験やヒントをお聞かせください。