日々弊社 Office 365 サービスをご利用頂きありがとうございます。
Office 365 Exchange Online では Outlook on the Web (Ootw)、Office Outlook、Outlook アプリなど様々なクライアントからメールボックスにアクセスすることができますが、主に Ootw をメイン クライアントとして使用されているお客様が多数いらっしゃいます。
そこで今回は Ootw 利用時にどのような問題が発生しているのか詳しく見てみたいという管理者様向けの情報をお届けします。
表示されているエラーのみでは何か起こっているのかわかりずらい場合がありますので、以下にご案内する内容で、今後のトラブルシューティングのお役に立てれば幸いです。
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発生している問題の理解
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ユーザー様から問題が寄せられたとき、その問題がいつ発生し、特定ユーザーのみで発生しているのかどうか正確に把握するだけでも、情報を採取することなく問題が端末側の問題なのか、Exchange Online に関する設定の問題なのか、または Exchange Online の障害の可能性があるのか把握することができます。
何を確認すべきは以下のサイトに公開していますので、まずは最初にご確認ください。Ootw のログインできない場合のシナリオでの紹介ですが、それ以外のシナリオで意図しない挙動が見られる場合にも、とても有益な情報です。
Title: OWA または Office 365ポータルにサインイン出来ない場合の最初の確認項目
Url: https://answers.microsoft.com/thread/27752d2d-1337-48b5-a92b-2cb9c8911eab
また Office 365 では Internet Explorer なら最新及びひとつ前のバージョン、Safari、Chrome、Firefox は最新バージョンで安定して動作するように設計されております。
Office のシステム要件
https://products.office.com/ja-jp/office-system-requirements#Browsers-section
ご利用されているブラウザーが古い場合は、最新バージョンにアップグレードして問題が再現するかどうかも確認しましょう。
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クライアント側のログの採取
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Ootw でのトラブル シューティングとして主に以下の 3 種類のログを採取することで、事象発生時に何が発生するのかかなり深いところまで追うことができます。
a) 再現手順のキャプチャ
b) HTTP トレース
c) コンソール ログ
a) については Windows に同梱されている問題ステップ記録ツール (PSR.exe) を使用すると、手順の記録が画面ショット付きで簡単に保存できます。以下の公開情報にて PSR による採取手順が解説しています。
ツールを使って再現手順を記録する方法 (PSR ツール)
https://technet.microsoft.com/ja-jp/cloud/mt469056.aspx
b) については、Firefox、Chrome、IE を使用する場合に利用できる F12 開発ツールよりネットワーク ツールを追加でインストールせずに HTTP トレースをキャプチャし、Fiddler ツールを使用することで、暗号化された通信内容を確認することができます。最後に c) についてですが、 HTTP トレースだけではわからないクライアント側の処理内容を見たい時に役に立ちます。
以下に上記の 3 点セットを一度に取得する手順とそれらのログの参照方法について解説します。なおブラウザーのバージョンによっては、UI や手順が若干異なる場合があることを、予めご承知おきください。
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事前準備
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1.情報採取を行う端末でブラウザーを起動して、F12 キーを押下して開発ツールを起動します。
/// Firefox の場合
[コンソール] タブを開き、下図赤枠内の項目をすべて選択状態 (水色) とします。
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採取手順
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– ステップ記録ツールの開始
1. Windows 端末の [プログラムとファイルの検索] または [ファイル名を実行して実行]で、”psr” と入力し、psr.exe を実行します。
2.ステップ記録ツールの最右部の下矢印より[設定] を選択し、”保存する最新の取り込み画像数” を “100” など大きい値に変更し、”[OK]”をクリックします。
3. ステップ記録ツールの[記録の開始] をクリックします。
※これより画面ショットの記録が開始されます。不要なウィンドウなどは閉じていただけますようお願いいたします。
– HTTP トレースおよび Ootw トレース
4. 前述の事前準備を行った Firefox を起動し、事象が発生するユーザーでOutlook on the Web にサインインします。
5. URL の末尾 “#path=/mail” などを削除し、”?traceLevel=4″ と入力した後、[Enter] キーを押下します。
※大文字、小文字が区別されますので、”?traceLevel=4″ はそのままコピー & ペーストしてください。
URL 例:https://outlook.office.com/owa/?traceLevel=4
6.HTTP トレースファイルの採取を開始します。
/// Firefox の場合
F12 キーを押下して開発ツールを起動し、[ネットワーク] タブを開きます。
/// Chrome の場合
F12 キーを押下して開発ツールを起動し、[Network] タブをクリックします。赤色の丸アイコンが表示され、記録が開始されていることを確認します。
/// IE の場合
F12 キーを押下して開発ツールを起動し、[ネットワーク] タブをクリックし、緑の矢印アイコンをクリックします。
7. Ootw で発生する事象を再現させます。
8. 事象再現後、HTTP トレース ファイルを保存します。
/// Firefox の場合
開発ツール画面 (要求の一覧上) で右クリックし、[HAR 形式ですべて保存] を選択し、任意の場所にファイルを保存します。
/// Chrome の場合
[Network] タブで右クリックし、[Save as HAR with content] を選択し、任意の場所にファイルを保存します。
/// IE の場合
[ネットワーク] タブで、赤色の停止アイコンをクリックし、保存アイコン ([キャプチャしたトラフィックのエクスポート]) をクリックし、XML ファイル(OS によっては HAR ファイルの場合があります)を任意の場所にファイルを保存します。
9 事象再現後、コンソール ログ ファイルを保存します。
/// Firefox の場合
9a. 開発ツール上の [コンソール] タブを開きます。
9b. 右クリックし [すべて選択] を選択の上、[コピー] します。
9c. コピーした内容をメモ帳などでテキスト形式にて任意の場所に保存してください。
9d. 開発ツール画面右上の [X] をクリックし、開発ツールを閉じます。
/// Chrome の場合
9a. 開発ツール上の [Console] タブを開きます。
9b. 右クリックし [Save as ] を選択の上、任意の場所に log ファイルを保存します。
9c. 開発ツール画面右上の [X] をクリックし、開発ツールを閉じます。
/// IE の場合
9a. 開発ツール上の [コンソール] タブを開きます。
9b. 右クリックし [すべてコピー] を選択します。
9c. コピーした内容をメモ帳などでテキスト形式にて任意の場所に保存してください。
9d. 開発ツール画面右上の [X] をクリックし、開発ツールを閉じます。
– ステップ記録ツールの終了
10. ステップ記録ツールの [記録の停止] をクリックします。
11. a. Windows 7 の場合 ……. [名前を付けて保存] ウィンドウが開くため、任意の名前をつけて保存します。
b. Windows 8 以降の場合 … 記録された内容が表示されるため、上部メニューの [保存] をクリックし、任意の名前をつけて保存します。
12. 手順 8, 9, 11 で保存したファイルをもとに後述の方法で調査します。
注意)
弊社技術サポートより上記手順で保存されたファイルを提供するように指示があった場合は、ZIP で暗号化して送付ください。
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クライアント側のログの確認
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取得したログをどのように見るかですが、コンソール ログはテキスト形式ですので、任意のテキスト エディターで見ることができます。また PSR のキャプチャはファイルをダブル クリックして、任意のウェブ ブラウザーで見ることができます。残りは HTTP トレースですが、そのままでは見られないので、Fiddler ツールよりファイルを取り込んで確認することができます。
Fiddler を以下からインストールできますので、Fiddler ツールから HTTP トレースの参照方法をご紹介します。
http://www.telerik.com/fiddler
– 手順
1. [File] – [Import Session] を選択します。
2.[Select Import Format] で適切は形式の HTTP トレースをクリックし、[Next] をクリックします。
IE の場合は、 “IE’s F12 NetXML” を選択し、Chrome や FireFox の場合は、”HTTP Archive” を選択します。
3.取り込みが完了すると以下のように HTTP トレース内容を確認することができます。
4. PSR で取得した再現手順の時間と照らし合わせて HTTP トレースの内容を確認することで、事象発生時にクライアントからのリクエストや Exchange Online からのレスポンス内容を確認できます。
5. HTTP トレース上特に問題が見られない場合は、コンソールログから何かエラーが発生していないかどうか確認します。
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補足情報
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Fiddler ツールのみで HTTP トレースを採取することもできますので、補足として手順をご案内します。
1.[スタート] -> [すべてのプログラム] -> [Fiddler2] または [Fiddler4] より Fiddler を起動します。
注意:事前に全てのブラウザが閉じていることをご確認下さい。初回セットアップ時に起動されるものも閉じます。
2. 起動後、[File] -> [Capture Traffic] にチェックがついていることをご確認ください。
3. [Tools] -> [Fiddler Options] ダイアログより [HTTPS] タブ内の [Decrypt HTTPS traffic] を ON にし、表示されるダイアログへは [Yes] ボタンをクリックします。
* [Yes] を選択することで、Fiddler が発行する証明書がクライアント端末のルート証明機関ストアにインポートされます。これが許容されない場合は一旦 [No] をクリックいただき、ログ採取時に Fiddler 証明書の警告が発生した場合には、そちらで “はい” を選択ください。
4. “Ignore server certificate errors” を ON にし、[OK] をクリックすることでダイアログを閉じます。
5. 現象の発生を確認します。
6. 現象が発生したことを確認後、[File] -> [Save] -> [All Sessions] より、任意の名前 (拡張子 saz) をつけて、出力結果を保存します。
備考:上記にて、保存対象のログを部分的に選択した場合、以下のメッセージが出る場合があります。 すべてのデータを保存するためには、”はい” を選択してください。
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Warning:You have only selected one HTTP session.
Would you like to archive ALL of the sessions instead?
—
なお Firefox の場合は、以下の公開情報を参照ください。
Configuring Firefox for Fiddler
http://www.telerik.com/blogs/configuring-firefox-for-fiddler
本ブログでのご案内は以上となります。
※本情報の内容(添付文書、リンク先などを含む)は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。