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【パートナー事例】デジタル時代のスポーツを IT で支援 データスタジアムが Azure で提供する映像プラットフォームとは【6/14更新】

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「デジタル時代のスポーツ コンテンツ ビジネスにおけるキー プレイヤーになる」を企業理念に掲げ、IT でスポーツを支援し続けているデータスタジアム株式会社 (以下、データスタジアム) 。ここではその一環として、スポーツ チームがどこででも簡単に使える映像プラットフォームを、Microsoft Azure 上で提供しています。それではこの映像プラットフォームとは、具体的にどのようなものなのか、そしてなぜ Azure を採用したのでしょうか。データスタジアムの皆様に、お話をお聞きしました。

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写真右より、執行役員 テクノロジーマネジメント部 兼 配信・運用サービス部 部長 岡本 正弥 氏、テクノロジーマネジメント部 プロデューサー 坂本 圭佑 氏、テクノロジーマネジメント部 兼 新規事業推進部 伊藤 秀亮 氏

 

企業概要と映像プラットフォームについて

まず御社の概要についてお教えください。

ds2岡本 データスタジアムは 2001 年に、スポーツに関するデータをメディアやチームに提供する事業からスタートした会社であり、現在は大きく 2 つの柱でビジネスが構成されています。1 つは当初から行っているメディアへのデータ提供や、データを活用したコンテンツの企画/制作/配信です。たとえば「スポーツナビ」の中の「一球速報」のデータは当社が提供しています。また最近では、インターハイや全日本少年軟式野球大会、全国中学校駅伝大会など、テレビで放送されないスポーツ イベントの映像配信も手掛けています。もう 1 つの柱は、プロ チームに対するデータと分析システムの提供です。主にプロ野球チームやサッカー Jリーグのチームを対象にしており、これによってチーム強化などのお手伝いをしています。その一環として 2014 年には Azure 上で映像プラットフォームを構築し、提供を開始しています。

 

 

 

映像プラットフォームとはどのようなものですか。

 

岡本 クラウド上で稼働する、映像編集と配信のためのシステムです。当社が提供する映像や、チームが撮影した独自の映像をクラウドに取り込み、映像クリップの作成を行うことができます。たとえば選手のシュートだけを集めたクリップ集や、チームが失点したシーンのクリップ集などを、仮想編集ツールで簡単に行なえます。このツールはクラウド上で動いているので、同時に複数の人が編集することも可能です。作成したクリップはプレイ リストとしてまとめることができ、これをインターネット経由でどこででも見ることができます。あらゆるデバイスが使用できるため、移動中や遠征先でも、タブレットやスマートフォンでプレイリストを作成し閲覧することが可能です。

 

坂本 クリップ作成は再生開始位置と終了位置を記録する方法で行っています (実映像のカットやコピーは行いません)。実際に野球チームでは、コーチが選手にアドバイスするためにクリップを作成して特定のプレイを繰り返し再生したり、選手が自分のプレイを振り返るために見ているケースが多いようです。

 

 

映像プラットフォームの開発について

開発に着手したのはいつごろですか。

 

ds3坂本 2014 年です。映像の切り貼りなどを自分たち自身で行いたいというニーズがプロ チームの間で高まっていたのですが、当時は高価で運用も面倒なシステムしかなかったため、なんとかならないかというご相談を受けたのがきっかけです。まずはどのような映像をだれに見せたいのかなどのヒアリングを行い、実際の運用シーンを想定しながら、痒いところに手が届くツールの実現を目指して開発を進めていきました。

 

具体的にどのようなニーズがありましたか。

 

坂本 まず最も大きかったのは、映像編集に慣れていない分析担当者でも簡単に映像を編集できることと、スマートフォンでも閲覧可能にするということでした。また映像の共有および配信では、だれにどのクリップを見せるのかという設定を、きめ細かく行えることも求められました。これらの他にも、映像の上に手書きで線を描きたい、コメントを入れたいというご要望もあり、これもこのプラットフォームで実現しています。コマ送りやコマ戻し、スロー再生、映像の部分拡大などにも対応しています。

 

岡本 選手にはすべての映像を見せればいいというわけではなく、戦術に即した映像を見せる必要があります。このプラットフォームを活用すれば、戦術に合わせたプレイ リストを短時間で作成し、それをすぐに見せることができます。ユース チームやジュニア チームでの利用も増えています。最近は高校生も忙しいので、数分程度にまとめたクリップ集を、通学時の待ち時間などで見ていると伺っております。

 

活用しているチームの数は。

坂本 プロ チームとしては 10 チーム程度ですが、プロ チーム以外も含めれば約 50 の組織に導入されています。その中には、スクールやジムでの映像を使った指導や、広報担当の方による活用も含まれています。

 

伊藤 社内でも活用しています。たとえば昨年大型スポーツ イベントで映像のライブ配信を行ったのですが、その後のアーカイブ編集と配信に、この映像プラットフォームを利用しています。このようなアーカイブ編集を行う場合、以前はイベント会場で SD カードなどに映像データをコピーし、それを編集システムのある場所に運んで編集作業を行う必要がありましたが、この映像プラットフォームを使うことでその必要がなくなり、一連の作業をシームレスに行えるようになりました。とても便利なシステムだと実感しています。

 

 

システム基盤に Azure を採用した理由について

システム提供の基盤として Azure を採用していますね。なぜ Azure を選んだのでしょうか。

 

坂本 最大の理由はストレージが安価だからです。クリップを作成する際に、オリジナル映像からのコピーを行わないといった開発上の工夫も行っていますが、年間に行われる試合数は非常に多く、それを数年分蓄積するとなれば、かなりのデータ量になります。システムを低コストで提供するには、ストレージ コストをいかにして抑えるかが重要です。実際に AWS (Amazon Web Services) などとも比較しましたが、Azure の方が確実に安価になると評価し、採用を決めました。

 

岡本 マイクロソフト様のご担当者が「スポーツを IT で支える」という当社の理念に共感し、積極的に協力してくれたことも、Azure を選択した理由の 1 つです。当時はまだ Azure のデータセンターが国内になく、機能面も他社に比べてまだまだという印象でしたが、マイクロソフトのエバンジェリストがきめ細かく相談に乗って下さり、安心して利用できると感じました。その後は国内にもデータセンターができ、サポート体制も整備され、機能面も充実してきたので、良い選択ができたと考えています。

 

Azure をどのように利用していますか。

坂本 IaaS として利用しています。具体的には、映像ファイルを格納するストレージを確保し、仮想マシンを立ち上げて、その上で仮想編集ツールを動かしています。Azure ならお客様ごとの環境を短時間で立ち上げ、すぐに運用に入ることができます。先ほど伊藤から話しのあった大型スポーツ イベントでも、専用の環境を用意しています。このような運用は、オンプレミスでは難しかったと思います。

 

 

今後の展望と IT 人材の募集について

今後このプラットフォームを、どのように発展させていく計画ですか。

 

岡本 今は映像の編集と配信の機能を提供していますが、今後はデータ分析の機能も実装していきたいと考えています。Web の分析システムはこれまでも提供していたのですが、これを Azure に統合することで、映像取り込みから編集、分析まで、ワンストップで行うことが可能になります。これによってデータ資産を集約し、より大きな価値を生み出せるようになるはずです。

 

伊藤 データ分析を Power BI で行えるようになれば、ユーザーの裾野はさらに拡大するはずです。たとえばアマチュア チームでは、データ分析を Microsoft Excel のワークシートで行うケースが多いのですが、Power BI ならもっと簡単に可視化できます。この機能を Azure で提供すればコストも下がるので、アマチュア チームにも導入しやすくなると思います。

 

坂本 仮想マシンの冗長化と復旧の迅速化も検討しています。最近ではこのプラットフォームがチーム運用に深く入り込むようになっているので、万一システムがダウンするとチーム ミーティングに支障が出てしまいます。高い可用性を確保することで、より安心してご利用いただけるようにしたいと考えています。

 

 

IT 系の人材募集も行っていると伺っています。

岡本 当社はデータスタジアムという会社名なので、データ分析集団だと思われがちなのですが、実はさまざまな IT システムの開発および運用を行っています。今回お話した映像プラットフォームの他にも、たくさんの Web 系システムやモバイル系システムを開発しており、ローカル アプリケーションとしての分析システムも構築しています。また最近では選手の動きを映像分析でトラッキングするシステムや、AI で次の展開を予測するシステム、IoT や VR を活用したシステムの開発も始めています。このような取り組みを加速していくには開発チームの拡充が必要です。

 

坂本 今後はセンサーを使ったデータ収集も進むので、扱えるデータはさらに増えていきます。これをどう扱うかが私どもの重要課題です。たとえば AI を活用することで、選手の怪我の予測や、それに基づくトレーニングの提案も可能になるかもしれません。チーム編成やドラフト戦略にも貢献できる可能性があります。

 

岡本 使用するデータはスポーツ関連のものばかりなので、スポーツの好きな方には楽しい環境です。ぜひともスポーツ好きなエンジニアに、これからの開発に参加していただきたいと考えています。

 

ありがとうございました。

 

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今回の取材に対応してくださったデータスタジアムの皆様。

向かって右から、執行役員 テクノロジーマネジメント部 兼 配信・運用サービス部 部長の岡本 正弥 氏、テクノロジーマネジメント部 プロデューサーの坂本 圭佑 氏、テクノロジーマネジメント部 兼 新規事業推進部の伊藤 秀亮 氏。

 

 

データスタジアム株式会社

2001 年 4 月に設立された、スポーツに特化したコンテンツ & テクノロジー企業。「独自のデータとメソッド、テクノロジーを駆使した価値創造により、デジタル時代のスポーツ コンテンツ ビジネスにおけるキー プレイヤーとなる。」を企業理念に掲げ、スポーツ ファンやメディア、スポーツ団体、チームに対し、多彩なデータやデータを活用したエンターテイメント コンテンツ、IT を活用した各種ソリューションを提供、競技レベルの向上や新しい楽しみ方を広げていくための提案を続けています。

 

 


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